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混ぜて、ナノプラスチックを取り除くーそれを繰り返すだけ

化学者たちは、水から目に見えない小さなプラスチック片の98%を素早く簡単に除去する秘策を見つけました。

文:Anthropocene Team
2024年9月5日

私たちの身の回りには、目に見えないほど小さなプラスチック片が沢山あります。マイクロプラスチックやナノプラスチックと呼ばれるものは、私たちの体内や食品、水、空気中から発見されています。プラスチック・スープ財団は、このままいけば2050年までに海が運ぶプラスチックの重量は魚の重量を上回ると指摘しています。

研究者たちは、環境からプラスチックを除去する方法を模索してきました。そして今、斬新なアプローチがミズーリ大学の研究者たちによって発表されました。『ACS Applied Engineering Materials』誌に掲載された研究の中で、研究者たちは実験室で水から小さなプラスチック粒子を98%除去する溶媒を発見したと報告しています。

プラスチックは丈夫で長持ちするように設計されています。しかし、廃プラスチックが水路に流れ込むと5ミリ以下の小さな破片に分解されてしまいます。これらのマイクロプラスチックやナノプラスチックは、魚介類に容易に摂取され、そこから食物連鎖を形成していきます。このようにしてプラスチックに含まれる無数の化学物質は、深刻な健康問題に関連しているのです。

現在、世界で生産されるプラスチックの約3%が海に流れ込んでいます。この割合は、プラスチックの生産量が増加するにつれて増えていく可能性が高いと予想されています。

このプラスチック汚染と闘うために、ミズーリ大学のGary Baker氏と彼の同僚たちは、目には見えないナノメートルサイズのプラスチック片を淡水や塩水から効率的に除去する方法を考え出しました。

「環境マトリックスからナノプラスチックを抽出・検出する際の課題は、その極小サイズ、多様な形状、低濃度にある」と研究チームは論文に書いています。そこで研究チームは、油のように水と混ざらない疎水性物質の化学溶媒混合物を10種類作成しました。

プラスチックも疎水性物質なので、溶媒に引き寄せられます。研究者たちが小さなポリスチレンのプラスチックビーズが入った水に溶媒を注ぐと、溶媒はまず表面に浮きました。溶媒を混ぜ合わせるとナノプラスチックが浮き上がり、そこからナノプラスチックを取り除くことができたのです。

研究者たちは、3種類の溶媒が最も効果的であることを発見しました。そのうちの2つはデカン酸と呼ばれる脂肪酸とアンモニウム塩と臭化物の塩との混合物で、3種類目は、メントールとチモールというタイムの抽出物の混合物です。

「これらの溶媒は、安全で無害な成分から作られており、水をはじく性質があるため、水源の汚染を防ぐことができ、持続可能性の高いソリューションとなる」と、論文の主執筆者であるPiyuni Ishtaweera氏はプレスリリースで述べています。さらにこの研究は、プラスチック濾過に関する戦略の革新を促進する可能性があると指摘しています。

出典: Piyuni Ishtaweera et al. Nanoplastics Extraction from Water by Hydrophobic Deep Eutectic Solvents. ACS Appl. Eng. Mater. 2024.
画像:Based on photo by Sam O’Keefe via University