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海洋微生物がプラスチック汚染を好むようになっているのかもしれない?

新たな研究により、世界の海から採取したサンプルの75%以上で、ペットボトルなどに使われるプラスチック「PET」を分解できる酵素を持つ微生物が見つかりました。

文:Warren Cornwall
2025年11月12日

1950年以降、私たちは1億5,000万トン以上のプラスチックごみを海に投棄してきました。

プラスチック片はマリアナ海溝の底といった遠隔地でも発見されており、最近では海面下約6キロの地点で無傷のビニール袋が見つかっています。

そのため、深海の生物たちが、生命の構成要素である炭素を、このほとんど壊れない物質から抽出する方法を編み出していたことは不思議ではありません。

科学者たちは、プラスチックを分解し、食べる能力を備えていることを示唆する遺伝子を持つ海洋細菌を発見しました。「炭素が乏しい海洋環境では、微生物がこれらの酵素を微調整し、人間が生み出した新しい炭素源であるプラスチックを利用できるようになっているようだ」と、サウジアラビアのアブドラ王立科学技術大学の海洋生態学者であるCarlos Duarte氏は述べています。

プラスチックを食べる微生物が発見されたのは今回が初めてではありません。2016年、日本の科学者たちが、プラスチックリサイクル工場の排水から、ポリエチレンテレフタレート(PET)を分解できる細菌を初めて発見しています。PETは特に透明な飲料ボトルなどを作るのに使われるプラスチックポリマーです。

この発見は、プラスチックを分解できる特別な酵素PETase(すべての酵素名には「ase」が付く)を持つ微生物を世界中で探す研究の引き金となりました。研究者たちを突き動かしたのは、地球規模で進むプラスチック化が遺伝子にどのような痕跡を残しているのかという好奇心と、こうした微生物をプラスチックリサイクルの改善に活用できるのではないかという期待の両方でした。以来、科学者たちは海洋微生物を含む微生物を遺伝子操作し、PET分解能力を持たせることにも成功しています。

しかし、自然の進化は人間の知恵をすでに先行している可能性があります。海には膨大な数の微生物(推定100オクティリオン以上)が存在するため、進化の実験場として理想的な環境だからです。

Duarte氏らは、2つの調査航海で世界中の海から採取した415の水サンプルを分析し、PETを分解できる細菌の遺伝子マーカーを調べました。その結果、国際微生物生態学会の学術誌『The ISME Journal』で今年報告されたように、75%以上のサンプルでPETaseの生成に関連する遺伝配列が確認されました。

「深海で自然に進化したさまざまなPET分解酵素は、プラスチックを効率的に分解するために研究室で最適化するためのモデルになる」とDuarte氏は言います。

実験室での検証とコンピュータによるデータ解析により、プラスチックを効率的に分解できる可能性が最も高いPETase関連の特定の遺伝子配列を絞り込むことができました。それらは依然として豊富に存在し、ほとんどの水サンプルから検出されました。

しかし、これは私たちが海に流し込んでいる膨大な量のプラスチック問題を簡単に解決できることを示しているわけではないと、Duarte氏は警鐘を鳴らしています。「プラスチックが深海に到達する頃には、海洋生物や人間の消費者に対するリスクはすでに生じてしまっている」と指摘しています。

出典:Alam, et. al. “Widespread distribution of bacteria containing PETases with a functional motif across global oceans.” The ISME Journal. June 10, 2025.
画像:©Anthropocene Magazine