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汚れた水を水素に変換する新技術

プリンストン大学の新しい研究によると、再生水を水素生産における精製水の代わりに使用することで、処理コストを47%削減できることがわかりました。

文:Anthropocene Team
2025年10月30日

再生可能エネルギーによる電気を使って水を分解して製造される水素は、輸送や産業向けの環境に優しい燃料として期待されています。しかし、このプロセスには大量のきれいな淡水が必要であり、地域の水資源に負担をかけ、コストの増加にもつながります。

新しい研究によると、水素の原料として再生廃水を使用することが可能であることが分かりました。これにより、水処理コストを47%削減でき、水からグリーン水素を製造するコストも低減できると、プリンストン大学の研究チームが学術誌『Water Research』で報告しています。

「水素インフラは一般的に地域の淡水利用と競合する。しかし、どの町にも排水処理場があり、それは水素経済にとって非常に分散した水資源となる」と土木・環境工学のZ. Jason Ren教授は述べています。

電気分解とは、金属電極を用いて水に電流を流し、水素と酸素を分離するプロセスです。反応を促進するために触媒が加えられることも多く、通常は非常に純度の高い水が必要になります。不純物があると電解槽内の特殊な膜を損傷するおそれがあるためです。

Ren教授とその研究チームは論文で、水の浄化コストは電気分解による水素製造にかかるコスト全体の中では小さいものの、持続可能な水源の確保が依然として重要な課題であると述べています。そのため、研究者たちは再生水、海水、塩水などの代替水源を模索してきました。これらの水源を利用することは、「貴重な淡水資源と競合することなく水素経済(H₂エコノミー)を拡大するために不可欠だ」と彼らは指摘します。

海水から水素を生産するのは困難です。なぜなら、触媒が純水中ほど効率的に機能しないうえ、塩水によって電極が腐食し、水中の塩素が副反応を引き起こす可能性があるためです。

そこで、プリンストン大学の研究チームは再生水を使用しました。これは、下水処理場で処理され、環境への放流や灌漑などの飲用以外の用途に適した水です。しかし、海水の場合と同様に、再生水に含まれるさまざまな不純物がシステムの性能や寿命に影響を与えることが分かっています。

研究チームは研究室で実験を行い、汚染物質が電解装置にどのような影響を与えるのかを正確に調べました。その結果、特にカルシウムやマグネシウムなどの特定のイオンが、電解槽の膜を詰まらせることで電気分解プロセスに大きな影響を与えることが分かりました。

この問題を解決するため、チームは硫酸を用いて水を酸性化しました。酸から生じるプロトンが膜内のイオン不純物を実質的に除去し、イオン輸送を促進することで電流を維持し、持続的な水素生成を可能にしたのです。このシンプルな方法により、電解槽の稼働時間は8時間未満から300時間以上へと大幅に延びました。

研究者たちの計算によると、精製水の代わりに再生水を使用することで、水素製造のための水処理コストを約47%、エネルギーコストを約62%削減できる可能性があります。

「この研究は、再生水を用いた電気分解の実用的な可能性を示すものであり、排水処理施設がクリーンエネルギー転換に貢献できることを示している」と研究チームは指摘しています。

出典: Lin Du et al, Electrolytic hydrogen production from acidified wastewater effluent. Water Research, 2026.
画像:Eleven52/Envato