森林保護は生物多様性のためだけではない。今や雨を守ることでもある。
新たな研究は、森林、湿地、土壌の保全が生物多様性のためだけでなく、世界の農業が依存する降雨を持続させる上でも極めて重要であることを示しています。
文:Emma Bryce
2026年1月23日
研究者たちは、降雨の発生源が陸地か海洋かによって、作物の生育に大きな影響を与えるという興味深い発見をしました。海洋由来の降雨は比較的安定している一方で、主に陸地由来の降雨に依存する作物は、降雨の不確実性や干ばつの影響を受けやすいことが分かりました。
本研究では、この陸地由来と海洋由来の降雨の背景にある要因を探求するもので、2003年から2019年までの16年間にわたる衛星による降雨データを出発点としています。この衛星データを降雨モデルと組み合わせることで、研究者たちは、各地域の降雨が海面からの蒸発によるものなのか、それとも土壌や森林など陸上の生態系からの蒸発に由来するものなのかを遡って特定することできたのです。
さらに、トウモロコシ、小麦、大豆、コメといった主要作物を対象に、衛星で観測可能な植生の緑化度(生育状況を示す有効な指標)などの特性を測定することで、降雨パターンがそれら作物の生育や収量にどのような影響を与えているのかを明らかにしました。
その結果、農地における降雨のうち、陸地由来の降雨の割合が36%以上を占める場合、作物の生育条件が悪化しやすいことが明らかになりました。米国中西部や東アフリカの一部地域がその例であり、これらの地域はいずれも主に地域内の陸地由来の降雨に大きく依存しています。研究者たちは、こうした地域の作物は降雨量の減少や干ばつの発生頻度の増加、さらには生産性の低下に見舞われる可能性が高いことを発見しました。
さらに本研究は、世界の主要穀物であるトウモロコシの約40%、小麦の約60%が、主に陸地からの蒸発に由来する降雨を受けていることも指摘しています。これは、このタイプの降雨の変動がいかに重大な影響を及ぼし得るかを示しています。
一方で、陸地由来の降雨の割合が低く、海洋由来の降雨により多く依存している地域では、降雨パターンがより安定しており、その結果、作物の生育や収量も比較的安定する傾向が見られました。
この現象の背景にある要因として考えられるのが、陸上に存在する主要な降雨の供給源の継続的な劣化です。農地開拓を目的とした森林伐採により、水蒸気を生み出す密生した植生の面積が縮小しています。さらに、侵食や不適切な農法によって土壌が露出し、本来であれば後に蒸発して降雨をもたらす水分を保持する能力が低下してしまいます。
こうした生息地が侵食されるにつれ、降雨を生み出す水分供給源としての機能が低下し、その結果、降雨はより不安定で量も少なくなっていきます。
研究者たちは、これは農業とそれを支える生態系との間に生じている憂慮すべき破壊の連鎖を示している一方で、同時に、取るべき行動の焦点がどこにあるのかを浮き彫りにするものでもあると指摘しています。
陸地由来の降雨に最も依存している地域や作物を把握することで、降雨を持続させるために保護すべき具体的な景観や生息地を特定することが可能になります。それは、森林保全、自然湿地の再生、そしてより良い土壌保全といった取り組みを通じて実現できるものです。研究者たちが指摘するように、「これらの生態系を守ることは生物多様性のためだけではなく、農業を持続させるためでもある」のです。
出典:Jiang, Y. & Burney, J. A. “Crop water origins and hydroclimate vulnerability of global croplands.”
画像:Based on Brocken Inaglory via Wikimedia Commons
DATE
February 19, 2026AUTHOR
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