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イルカを救うリサイクル

新たな研究で、刺し網にペットボトルを取り付けることで、魚の漁獲量を減らすことなくイルカの混獲による死亡を約90%削減できることが示されました。

文:Warren Cornwall
2026年7月8日

現在、多くの地域ではクジラやイルカ、ネズミイルカなどは捕獲が禁止されています。しかし、それは彼らが漁業による危険から守られていることを意味するわけではありません。

漁具への偶発的な絡まりや溺死、いわゆる混獲(bycatch)は、鯨類にとって最大級の脅威の一つです。その大半は刺し網(gillnet)によるものです。刺し網とは、水中に垂らされたほとんど見えないナイロン製の網で、種類を問わず泳いできた生き物を捕らえるものです。

この問題は世界中で発生しています。インド洋では、マグロ漁に使用される刺し網によって、1950年から2018年の間に推定410万頭ものイルカなどの小型鯨類が死亡したとされています。また、刺し網はメキシコ固有のネズミイルカ、バキータ(コガシラネズミイルカ)を絶滅寸前まで追い込んでいます。アメリカでも、1990年代には毎年6,000頭を超える海洋哺乳類が刺し網によって命を落としています。

しかし、少なくとも一部の刺し網の解決策は身近なゴミ箱の中にあるかもしれません。新たに学術誌『Marine Mammal Science』に発表された研究によると、流し網に使用済みのプラスチック飲料ボトル(ペットボトル)を取り付けることで、魚の総漁獲量には影響を与えずに絶滅危惧種である南米のイルカの混獲を約90%減らせることが確認されました。

このアイデアを考案した英国・ニューカッスル大学の海洋保全科学者、Per Berggren氏は「これは明るいニュースであり、私たちが目指している理想的な成果である。シンプルな方法で、イルカにも漁業者にも利益をもたらすことができる。漁網にペットボトルを取り付けることで、世界中でイルカの混獲を減らすことができ、しかもどの漁業者にも導入できるほど低コストである」と述べています。

この方法は驚くほどシンプルで、空気の入ったペットボトルの音響特性とイルカの狩りの方法を利用しています。南米に生息するラプラタカワイルカは体長約2メートル弱で、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン沿岸の浅瀬で魚を追います。そのため、海底まで沈められた小規模漁業者の刺し網と行動範囲が重なり、混獲されやすくなっています。

イルカは周囲を把握するためにエコーロケーション(反響定位)を使います。自ら発したクリック音が物体に反射して戻ってくる音を分析することで、周囲の状況を認識しています。空気が入ったペットボトルは、細いナイロン網よりもクリック音をよく反射するため、イルカにとっては網の存在を認識しやすくなる目印のような役割を果たします。

研究チームは、全長3kmの刺し網の上端に130m間隔で小さなペットボトルを取り付けました。まるで間隔を空けて飾られたクリスマスイルミネーションのような配置です。ブラジル南部の漁業者と協力し、2020年から2025年まで、ペットボトル付きの網と通常の網で漁獲状況を比較しました。

その結果、網を設置していた時間を考慮すると、ペットボトルを取り付けた網ではイルカの混獲が88%減少していました。改良した網ではラプラタカワイルカが1頭だけ混獲されたのに対し、通常の網ではラプラタカワイルカ8頭とハンドウイルカ2頭が混獲されていました。

一方で、魚の漁獲量には統計的に有意な差は見られず、ペットボトルを取り付けることによる漁業へのデメリットはほとんどないことがわかりました。

Berggren氏は、「これはまさにイルカを救うリサイクルだ」と語っています。

もちろん、この方法がすべての混獲問題を解決する万能策というわけではありません。関連論文として『Fisheries Research』に掲載された研究では、ザンジバルやペルーで、水面近くに浮かぶ刺し網を対象に同様の実験を行いましたが、同じような効果は得られませんでした。Berggren氏は、水面付近は波やその他の音によって「騒がしい」環境となるため、ペットボトルから反射する音がイルカに認識されにくくなるのではないかと指摘しています。

プラスチックボトルの弱点を克服できるより高度な技術としては、網に取り付けて一定間隔で「ピン」という音を発する電子機器もあります。しかし、研究者らは、こうした機器は購入費や維持費が高く、小規模漁業者にとっては導入の障壁となっていると指摘しています。

その一方で、空のペットボトルは世界中にあり余るほど存在しています。

出典:Sucunza, et. al. “Evidence of Dolphin Bycatch Reduction With Upcycled Plastic Bottles Acoustic Reflectors Attached to Bottom-Set Gillnets.” Marine Mammal Science. May 18, 2026.

Berggren, et. al. “Upcycled glass and plastic bottles offer potential low-cost mitigation to megafauna bycatch in gillnet fisheries.” Fisheries Science. May 9, 2026.

画像:© Yaroslaf | Dreamstime.com