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無料のポリマーなど存在しないーバイオプラスチックの核心にあるトレードオフ

新しいライフサイクル分析により、バイオ由来プラスチックは気候には良いものの、生物多様性には悪影響であることが判明しました。最も環境に優しい選択肢は需要を減らすことです。

文:Sarah DeWeerdt
2026年3月3日

新しい研究によると、サトウキビ、トウモロコシ、農業廃棄物などの原料から作られるバイオ由来プラスチックは、石油由来のプラスチックに比べてカーボンフットプリントが小さいことがわかりました。しかしその一方で、自然生態系により大きな影響を与えていることもわかりました。

この研究は、バイオ由来プラスチックと化石由来プラスチックを比較した初めての包括的なライフサイクル分析です。研究者たちは、5種類のバイオ由来ポリマーと7種類の化石由来ポリマーについて、生産、使用、廃棄の各段階における環境影響を追跡しました。これまでの多くの研究はバイオプラスチックのカーボンフットプリントに焦点を当ててきましたが、本研究では生態系の質や人の健康への影響も評価対象に含めています。

別の最近の研究でも、従来型プラスチックをコンポスト可能なプラスチックに置き換える際の環境上のトレードオフが指摘されています。(バイオ由来プラスチックとコンポスト可能なプラスチックはいずれも環境に優しい素材として推進されてきましたが、すべてのバイオプラスチックがコンポスト可能なわけではなく、またすべてのコンポスト可能なプラスチックがバイオ由来というわけでもありません。)

今回の研究も同様に、バイオプラスチックが環境問題の万能解決策ではないことを示しています。むしろ、気候と生物多様性の間のトレードオフを伴うものなのです。

バイオ由来プラスチックのカーボンフットプリントは、化石由来プラスチックの半分強となっています。これは主に、原料となる植物が成長する過程で二酸化炭素を吸収するためです。

しかし、生態系の質への影響は化石由来プラスチックの数倍にもなります。その主な理由は、これらの植物を栽培するために自然生態系が農地へ転換される必要があることです。また、作物の栽培には肥料や水が必要となることから、人の健康への影響もバイオ由来プラスチックの方が大きくなります。

バイオプラスチックの環境影響は、どの原料から作られているかにも左右され、ここでもやはりトレードオフがあります。トウモロコシやサトウキビなど食用作物から作られるプラスチックは、農業廃棄物などから作られるプラスチックよりも生態系への影響が大きくなります。一方で、農業廃棄物からプラスチックを作る場合はエネルギー消費が多く効率も低いため、気候面でのメリットが弱まってしまいます。

廃棄段階における影響については、不適切に廃棄されたプラスチックによる生態系へのダメージは、そのポリマーが環境中でどれくらい長く残るかに関係します。つまり、それが石油由来か植物由来かは直接の要因ではないということになります。

さらに、仮にヨーロッパで使用されているすべての化石由来プラスチックをバイオ由来プラスチックに置き換えたとしても、需要の増加が続けば、気候面でのメリットは打ち消されてしまいます。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の試算によれば、欧州のプラスチック産業は2050年までにカーボンフットプリントを二酸化炭素換算で1700万トンまで削減する必要があります。しかし、現状のままのシナリオでは、排出量は2億5000万トンまで膨れ上がると研究者は試算しています。仮にすべての化石由来プラスチックをバイオ由来に置き換えたとしても、カーボンフットプリントは1億トン程度に抑えるのが精一杯です。

バイオ由来プラスチックへの置き換えに加え、プラスチック包装の需要を毎年約3%削減することができれば、初めてIPCCの目標に近づく可能性があります。このシナリオでは、バイオプラスチックによる生態系への影響も抑えることができます。

研究者たちは、「今回の結果は、単なる代替素材への置き換えだけでは不十分であることを示している。最終的には、使い捨て包装の需要そのものを減らすことが不可欠である」と指摘しています。

出典:Erradhouani B., et al. “Transition to bio-based plastic packaging reveals complex climate-biodiversity tradeoffs.” Nature Communications 2026.
画像:©Anthropocene Magazine.