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古典的なおもちゃを活用し、蒸発する水からクリーンなエネルギーを生成

この装置は、小型電子機器に電力を供給するのに十分な電気を作り出し、わずか100ミリリットルの水を燃料として数日間作動することができます。

文:Anthropocene Team
2024年3月28日

魅惑的で一見魔法のような動力を持つ、鳥が水を飲む姿を真似する「飲む鳥」のおもちゃを使った科学の授業なしには、子供時代は終われません。現在、研究者たちはこの地味で小さな科学おもちゃを、水から有用な量の電気を発生させるという重要な仕事に活用しています。

この装置は、水が蒸発する際に発生するエネルギーを利用して100ボルト以上を発電します。わずか100ミリリットルの水を燃料として数日間作動することができると、研究者たちは『Device』誌に発表しています。

この飲む鳥のおもちゃは、頭と尾を形成する2つのガラス球がガラス管でつながれています。鳥の頭はフェルトのような素材で覆われていて、ガラスの中には揮発性の液体が入っています。ガラス管の本体はプラスチックの脚につながっているので、鳥はシーソーのように上下に揺れます。

鳥の頭がコップの水に入ると、水が蒸発して圧力差が生じ、尻尾の液体がチューブを通って頭部に上昇し、そのことで鳥が前方に傾き、水に浸かるという永久サイクルが生まれます。

水の自然蒸発はエネルギーを生み出します。研究者たちは、この有望なクリーン・エネルギーを利用する方法を模索してきました。香港理工大学の機械工学者であるZuankai Wang氏と彼の同僚たちは、このエネルギーを使う画期的な方法を飲み鳥のおもちゃで考え出しました。

研究者たちは、2つの円盤状の摩擦帯電ナノ発電機(TENG)を鳥のおもちゃの両側に追加しました。TENGは、2つの異なる物質が擦れ合うことで電荷が蓄積されるトライボエレクトリック効果によって、運動から電気を生成する装置です。つまり、鳥のおもちゃは水の蒸発エネルギーを運動に変換し、それをナノジェネレーターが電気に変換するのです。

この装置はわずか100mlの水で50時間作動することが様々なテストでわかりました。出力は100ボルトで、電卓、温度センサー、小型LCDディスプレイ20台などに電力を供給できます。

研究チームは現在、市販のおもちゃを使うのではなく、自分たちで「飲む鳥」を一から設計し、より効率的な装置を作ろうと計画しています。

出典: Hao Wu et al. Drinking-bird-enabled triboelectric hydrovoltaic generator. Device, 2024.